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道友会の皆様へ ダニエル

先日UPしましたダニエルさんの手紙、英文を当会のRさんとKさんが訳してくれましたので掲載いたします。

「私が日本に行くことを決めたとき、一つだけ確信できることがありました。この留学は私にとって大切な旅の一つになるだろうということです。ある意味で私たちはいつも旅をしているとも言えますが、その始まりと終わりを決めることはいつも容易ではありません。

日本への出発の日、つまりこの旅の始まりの日は決まっていましたが、もっと重要なことは、終わりの日が決まっているということでした。初めから終わりの日を意識していたので、日本を離れる最後の瞬間に悲嘆にくれる、ということにはならなかったように思います。

日本への滞在中、多くのかけがえのない思い出ができましたが、それらの大部分は道友会に関係しています。

道友会の道場を訪れた最初の日は土曜日でした。私はその時日本語を全く話せませんでしたので、大学の友人に私と一緒に来て正しく振舞えるよう手伝ってくれるように頼みました。彼女は喜んで付き添ってくれ、道場へ行く方法を教えてくれたのですが、その日は練習がなくてさびしく帰宅しました。友人は来週の土曜日、また付き添ってくれると言ってくれましたが、私は来週の土曜日まで待ちきれなかったので、水曜日に一人で行って日本語を話すことにベストを尽くすことにしました。そして、その日(水曜日)は私が道友会の皆さんに初めて出会った日になりました。

私は道友会が遠藤師範に関連する道場であることを知らなかったのですが、面白いことに道友会の方のいくつかの顔に見覚えがある気がしました。その週の後半、私は数年前に見たYouTubeのビデオを見返し、そこに道友会の方が映っていたことに気づきました。

私はこの偶然についてすぐに私の兄に伝えたところ、兄はそれを単なる偶然の一致と考えてはいけないよ、と繰り返していました。そして、どうやら兄の意見は正しかったようです。

道友会では、誰もが私の拙い日本語にも辛抱強く耳を傾け、日本語での会話を練習する機会を与えてくれました。私以外に稽古に参加する日本人以外の方がいたこともまた私の緊張を取り除いてくれました。

稽古について

ブラジルでいつも練習していたよく知っている技のはずですが、技のやり方が自分の習ってきたものとまったく違っていました。このテクニックの違いは、思い通りに技ができない私をイライラさせ、すべての稽古を難しくするものでした。日本にいる間にこの新しいやり方に慣れることはできるのだろうか?と不安に感じる一方で、私がとるべき道はとにかく稽古を続けることだけでした。

決まったゴールを目指して合気道を練習してきたわけではないので私は前に進み続けるしかありませんでした。

技のやり方の違いからフラストレーションを感じるのと同時に、周りの稽古仲間達の合気道にとても惹きつけられました。ここではすぐ目の前に新しく学ぶべきものが無限にあります。それは柔らかさと優しさ、シャープさとパワフルさを兼ね備えています。私が目にしたすべてのテクニックは私の目を奪い、目に焼きつき、私の中に貴重な記憶として今も残っています。

この旅の中での重要な決意の瞬間は道友会に入会してまもなく訪れました。その週の日曜日は(江東区での)講習会が開催され、前日の土曜日に道友会で遠藤師範による稽古がありました。

初めて遠藤師範にお会いしたまさにその日、私は膝を痛めてしまい、その日の練習を途中で止めざるを得なくなりました。医者をしている兄に怪我の状況を伝えたところ、兄は数週間稽古を休むようにアドバイスしてきました。ところが、私は兄のアドバイスを無視して、翌日(江東区の)講習会に行くことにしました。普通に歩くことさえままならない状況だったにもかかわらずです。

明日講習会に行くつもりだと道友会の皆さんに伝えていたということもありましたが、実際のところ私は講習会そのものにとても興味があったのです。非常にわかりやすい行き方の説明を受けて会場最寄りの駅まで行ったとき、膝サポーターとメロンパンをプレゼントしてもらいました。その時、私は十分に感謝することができず、おそらく私はいまだにそれを十分に伝えられずにいると思います。でも、駅でこのプレゼントを受けとった時、本当に、最高にうれしかったです。

講習会会場に到着した後、日本語でまともに話すことができない私を皆とても親切に気にかけてくれていました。私は見学をするだけではなく、できる範囲で稽古に参加することにしました。もちろん身体の大事を取ることも大切ですが、動ける限り動いてみよう、と思ったのです。この時をきっかけに、私は徐々に自分が道友会の一員であると感じられるようになりました。

演武会と講習会へ参加してイベントの後に全員と昼食をとったこと。国際講習会に参加した時に道友会のメンバーとして扱われたこと。道友会のみんなと一緒に全日本合気道演武大会を見学したこと。そして最後に道友会で私の初段審査を受けられたこと。

皆とのささやかな、でも大きな思い出の積み重ねによって、私は皆に歓迎されていると感じ、道友会に私の居場所があると感じることができました。皆さんからいただいた多くの気遣いがなければ、私の「成長したい」という意思はここまで強くはならなかったでしょう。皆様の辛抱強さと優しさのおかげで、私は合気道だけでなく、日本の文化、日本語、そして自分自身についても多くのことを学ぶことができました。

日本へ旅立つ時、私は解決するべき課題を多くは抱えてはいませんでした。今、日本で得たすべての経験のおかげで、私は探し求めていた答えと、そして最も重要な、さらに多くの問題を得ることができました。 今は、私がまだできないことやできることを見極めることも前よりうまくできるようになりました。そして、そのことが、私が探し求めるべきことを教えてくれました。

日本へ行くときにはまだ乏しかった夢と将来への展望。日本から戻ってきた私は今、たくさんのいい思い出、経験、新しい夢とそこへ向けた多くの見通しに満ち溢れています。

私は人生の計画を正確に立てるにはまだ若すぎると感じており、私の未来がどのようになるのかはまだわかりません。 しかし、皆さんへの感謝、賞賛、そして友情によって、私は道友会と強く結びついている、と感じています。なので、私は皆さんとこれからも連絡を取り合い、またすぐにもお会いしたいと思っています。

皆さんとのすべての思い出を心に抱きながら、私は新しい旅と新しい夢に向かい、この合気道の道を歩み続けていきます。

すべてに感謝します。

令和元年8月6日

Daniel Henrique Bernar Freitas                                                                      」

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