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道友会主催 ピラティス講座報告レポート  Sさん 外部団体 初段

【はじめに】
生まれて初めてのピラティス体験。船橋合気道道友会さん主催の本講座に参加させて頂きましたので、簡単で主観的なものですがご報告いたします。

去る7月13日、西船橋の船橋西部公民館で、10名ほどの参加者、下はお子さんから、上は年齢を敢えては訊かない老若男女、入り混じっての講座でした。一貫性のまるでない生徒を前に、先生は苦労されるだろうなと思いましたがなんのその、日焼けとお腹の筋肉が健康的な、笑顔で明るい先生(お名前を失念して失礼しました汗)は、何かのマジックと、多分ピラティス本来の汎用性で、皆がそれぞれに学べる時間を下さいました。「この年齢の男性なのに、みなさんさすがです。普段体を動かしているだけのことはありますね。計画を少し変更して、ちょっとハイレベルなものも入れました」と仰っていたので、「おっ、これはどうしたものか」と現状を目の前にして、柔軟にプログラムを修正してくれたようです。

【内容】
まずは1.談笑とピラティスの簡単な説明、そして2.ストレッチ、3.呼吸、4.体幹を意識した訓練、5.筋肉ジリジリ苛めトレーニングへと移行していき、あっという間に終わりました。主に体幹、呼吸、内側の筋肉、そして柔軟性を高めるサポートになったと思います。

1.“ピラティスとは?”
ヨガとピラティスの違いは何でしょう?合気道とどう繋げることができるのでしょうか?
まずヨガとピラティスの違いは?この疑問は、最初に皆を代弁して訊いて下さった先輩と、待ってましたとばかりに即座に受けて返した先生のおかげで解消しました…これも合気道でしょうか?
私の知る限りでは、ヨガのオオモトは、インドで、まだ様々な分野が分化していなかった時代から伝わる、包括的な人間の技で、その背景から、医療も教育も宗教も哲学も食も、全てを内包している印象です。それがアメリカに輸出され、アメリカらしくされたものが日本に再輸入され、さらにホットヨガなど様々に分化して、定義が分からなくなっている気がします。
一方ピラティスとなると、合気道の「あ」すら知らなかったのと同様に、ピラティスのぴの字も知りませんでした。
先生によると、始まりは第二次世界大戦。負傷兵の心身の治療のために、男性(ピラティス氏)が編み出したものだそうです。兵士に早く回復して戦場に戻ってもらうため、というシビアな歴史背景をニュートラルに話して下さる先生。
実際の体験中も、印象に残ることのオンパレードでしたので、先生の言葉を借りながら内容をご報告します。

2.ストレッチ
ストレッチにも色々ありますが(まず緩めてからやる、無理やりやる(バレリーナや、体操選手)、そのままやる、バウンスするなど)、いずれの場合でも共通するのは、長く続けていれば年齢不詳な方でも必ず柔らかくなること、そして呼吸を止めないこと。ピラティスのそれは、緩めながらも、少しずつバウンスしながら圧を加えていくものでした。ただふにゃふにゃなだけではなく、しなやかな柔軟性が求められる合気道に合っていると感じました。力を入れながら、大きくバウンドしながらやるなどは、逆効果なので、筋肉を傷めないようにやりましょう。

3.呼吸
ピラティスのそれは、胸式呼吸というものです。しかし行き着く先は、腹式呼吸と言われているものと同じように感じました。お腹周りの、筋肉か贅肉か不明なとにかく肉を、後ろから前に集めて、下から上に上げる。これでおなかの状態を作り、この状態で呼吸をする。ピラティスのコアな部分に少し触れた気がしました。
アバラに手を置きながら(おそらく肺の位置を意識するため)息を吸い、吐き、そこに酸素が入っていることを理解する。

4.体幹訓練
バランスの取れた姿勢とは?それを検証しました。つま先立ちする、ゆっくり降りる、片足立ちする、そして動く。呼吸を入れながら。こうして次々と動きを加えていくことで、最終的には複雑な動きを正しく行えるのだと思います。サッカーの長友選手がやっているのを想像なさると…ちょっと違うかもしれません。
以上、具体的な内容は実際に体感してください!

5.筋肉ジリジリトレーニング
腹筋や足上げでしたが、自分のできる角度で、できない方にはこう、と様々な方法を示してくれたので、どれくらい攻めるかも含め、自分で調整できました。確かに地味ではありました。男性が男性のために考案したとのことですが、骨格や筋肉の付き方は男女で違うはず。はたして同様のトレーニングをしていてもいいのか、と言う疑問は、合気道同様残りました。男女の差を、他の差と同様ものと考えればよいだけの話なのでしょうか。そのあたりの話も、先生や皆さんともお話してみたかったところが不完全燃焼。…次回を期待!

<所感>
・合気道に関連することを、との今回のご要望だったそうですが、本日の内容は合気道のみならず、他のスポーツ、生活、仕事にまで応用できると感じました。勿論繋げたければの話です。(私事ながら、7歳から27歳頃までテニスをやっていました。テニス論も昔と変わり、科学的な体の研究やトレーニング、そして道具の進歩によって比較にならないほど進化しましたが、その、現代のテニスにも共通するものがありました。
・とはいえ体幹・呼吸・柔軟・内筋、いずれも様々なアプローチがあり、ピラティスは行き着いたひとつの可能性で、向いているかは人によると思います。もちろん学ぶかは個人の自由なわけですが、
・一番思ったのは、1.自分の体に興味を持ち、自ら開発すること、2.外から学ぶこと、この2つが両方必要だということです。
・自分で学ぶだけでは限界があるし、古くからの知恵や先駆者の知恵から、時空を超えて学べるかどうかが、上達の鍵だと感じます。
・「どうして同じ20年合気道やっている人でも、こんなにも行きつく先が違うのだろう。何かこう、言葉にならない特別な特徴?エッセンス?がある人は、何が違うんだろう。勝ち負けもなく、同じ稽古をしているから行き着く先は同じ次元になりそうなものなのに」という、私の以前からの疑問に、少しのヒントをくれたと思います。
・腹式呼吸をしなさい?丹田に力を入れなさい?腹に力を入れたら息が出来ないじゃないか、という謎にも、自分なりのヒントを貰えました。今後の稽古や、生活の中でやってみよう。(そうして先生のように外に出せるお腹をゲットして、肌見せファッションを楽しもう)
・合気道は勿論のこと、もっと根本のことに触れられたと感じています。
・体がラクになった、というのが、いちばんピッタリくる感想です。いい汗かいたとか、他のどんな感想よりも大事なことだと思います。
・合気道もピラティスも、ほかの何をやるのも、自分という他人を大切にすること。育てること。そこがすべての始まりだと、受講して思いました。
・それには、体を定期的にリセットする、ニュートラルにすることが必要だと感じます。
・生きていく中で、澱は必ず溜まる宿命で、定期的なリセットが必要だからです。
・まだ私ができていない、遠藤師範の仰る他人との繋がりや、まだ言えない、開祖の仰る人類の平和と発展、宇宙と一つ、ということは、自分という他人をまず第1に整理して初めて、そこから開けてくる世界なのかな、と思います。
・何より印象的だったのは、先生は8か月の赤ちゃんから80代までの生徒さんを持っているそうですが、健康の秘訣として、40代で杖をつき、その後歩行器になってしまう方もいる一方で、80代でもぴんぴんしてスポーツ大会で活躍されている方もいる、という事例が表すものです。

1. 睡眠
2. 食事
3. 運動
4. 自分の体に興味をもつこと

が健康寿命を長く保つには必要だと感じている、とご自身の経験からの見解を述べてくれました。睡眠・食事・運動は当然として、4.が自分には意外でした。1,2,3に気を付けていても、例えば「一生懸命働いてガンバッテいる私」という自分に酔って、体の声に耳を傾けず、負荷をかけ続ける方は、健康寿命が短かったりするそうです。健康に気を遣っている方が病気にならないかというとそうでもなく、健康食品や無農薬の食品を意識して食べ、タバコは絶対吸わない方が肺がんになる、ということも起きるそうです。ありうる話と思います。

というわけで、大変有意義だったので、先生のお話も聴きたく、皆さんの感想も知りたくて、懇親会に参加できなかったのが大変残念です。とはいえウィンブルドンテニスの観戦で徹夜明けの体に無理はさせられません。健康寿命。健康寿命。

<後日談>
翌日、筋肉痛や疲れ等は全くありませんでした。体がラクだった…ただそれだけだったので、自分の体に合っているのだと思います。稽古の前に、ピラティスをやって、腹筋を寄せて上げて(そのままバストアップもしようと思った位、同じ動き)、さあいざ稽古となると…意識が飛んでいました。
体のどこかが覚えていると信じるしかありません。大変印象深かったので、大丈夫。

本企画を実行して下さった方々、色々な案を考えて下さったようですが、この講座で一番良かったです。他の親睦会等で合気道や様々な話で盛り上がるのも面白く、大事でもありますが、直接合気道の身体表現に結びつく、いい企画に心から感謝致します。
そして、先生は合気道のことをご存知ないにも関わらず、結びつくものはないかとメニューを考えて下さったそうです。レッスン中も、一貫性のない生徒の様子を見つつ、試行錯誤があったことは簡単に想像できます。本当にありがとうございました。名前を教えて下さい。
そしてそして、一緒に参加した皆様、先生が言って下さった、「皆さん凄いですね。さすが日頃から稽古されているだけありますね。これくらいの年代の男性の集まりで、ここまでの内容をできたことはまずありません」という喜びを含んだ驚きを、体のケアと合気道での励みに変えて、進んでいきましょう。
自分の胸に手を当てて、ホラ、こうやってこれからの合気道や生活を考えると、私は少しドキっとします。健康になっても戦場に戻る必要のない今、何かを始めること、続けること、進化することにマイナスはない。

―完―

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